【実践記】定年退職を見据えて!キャッシュフロー表作成

 今年3月末で定年退職を迎えました。退職後の生活を考えるため、退職の約1年半前からキャッシュフロー表を作成しました。

 人生二毛作の後半・二毛作目を迎えるにあたって、家族のライフイベントや先々までの収入、支出、貯蓄残高などを一覧表にしたもの(キャッシュフロー表といいます)を作成し、どの程度まで冒険(?)ができるか。

 ライフプランに沿って、どの程度まで自分の希望どおりの行動が可能か、将来の収入や支出を予測しながら考えていくベースとなるものです。

キャッシュフロー表様式(日本FP協会)

 私の場合にも、例えば、私的年金の受け取り方(受取時に選択できる商品)についてだけでも、5パターンのケースを作成し、シミュレーションしてみました。私的年金の受取り方法は、厚生年金や国民年金の受取り時期とも大きく関係しているので、色々なパターンが考えられます。

 私は55歳の時に、亡妻の遺族厚生年金受給を選択し、受給申請(60歳になるまでは支給停止)しているので、厚生年金については65歳受給が決定しています。したがって、公的年金については国民年金をいつ受給するかという選択肢だけになります。

 多くの皆さんは、厚生年金と国民年金をそれぞれ何歳で受給するか、また、ご夫婦の場合、どのようなパターンで受給するか、ご夫婦の年齢差などの条件によっても違いますので、それぞれの個々ケースで検討していくことになります。

 このように年金関係だけでも、色々なパターン(選択肢)があります。健康保険・医療保険や生命保険、教育資金や住宅資金、老後資金や投資資金などもありますので、その時点で最も適したものを選択していきたいものです。

 今後のライフプランを考えるうえで、そのベースになる「家計の収支予測」をキャッシュフロー表で考えていきます。

 私は妻を亡くしており、二人の娘はそれぞれ独立・結婚し、育児(私にとっては孫)中ですので、それほど家族にお金はかかりません。特に二女は、私と共同名義で住宅を建築し、家族で同居してくれていますので、お互いの生活費を圧縮することができます。

 こうした背景もあり、安定的な収入がある再雇用・再就職をせずに、”定年退職起業”しても暮らしていけそうと予測して、実際のキャッシュフロー表で検証してみました。

 検証した結果、起業後にそれほど収入がなくても、資産をあまり減らさずに、ある程度暮らしていけそうという判断ができました。

 起業後の一人会社設立も、健康保険や厚生年金、小規模企業共済、不動産収入、私的年金の受取りなどを考慮しながら、かつ、今後15年間にわたって有利な態勢をとれる可能性が高かったため、今回、合同会社設立にトライすることにしました。

 健康保険は、退職して2年後に「任意継続」が終了してしまい、個人事業者の場合、国民健康保険に加入することになりますが、国保は「傷病手当金」という休業補償がありませんので、働けなくなった時の備えとしても、合同会社設立後に”協会けんぽ”に加入するつもりです。(75歳からは後期高齢者医療制度へ移行します。)

 また、公的な年金については、”国民年金”はすでに40年間、満額掛金を納付済でこれ以上増やす工夫はありませんが、”厚生年金”は70歳までは加入することができるので僅かながらでも掛金を納付して、厚生年金の受給金額を増やすことができます。(厚生年金の支給額計算は”定額部分”が大きいので、掛金は少なくても加入期間が長ければ長いほど受給額が増えて、有利になります。したがって、起業当初は役員報酬を低めに抑えて、収支の様子を見守る予定です。)

 今年初めの日本FP協会長野支部研修会で長野市へお出でになった 経済コラムニスト 大江英樹さんによりますと、大江さん本人もそうですが、定年退職後に起業する場合は、公的年金(私の場合は64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給/大江さんは恐らく61歳から同年金を受給)という安定的な収入があるので、過大な投資しない自分一人のスモールビジネスであれば、何とか生活していけるということでした。「定年退職起業」はスモールビジネスとして起業する分には、比較的適した時期であるようです。

 一般的にキャッシュフロー表は、将来のライフイベントとキャッシュフローを併せて見渡し、先々赤字になることはないか、貯蓄は順調に増えていくかなど、家計の健全度をチェックすることができるツールです。

キャッシュフロー表の書き方(見本)(日本FP協会)

 皆さんも、人生の夢を着実にかなえ、充実した人生を送るためにもとても有効ですので、ぜひ上手に活用してくださいね。

 ただ、今「キャッシュフロー表」を作成しても、それはあくまでも現在の状況をもとにして、将来の家計を予測したものです。家族が増えたり、転職して収入が変わったり、子供の進学プランが変わったり、住宅購入予定が先延ばしになったりなど、予想したライフプランと実際が違ってくることがあります。このような変化があったときには、そのつどキャッシュフロー表を柔軟に見直し、必要に応じて資金繰りや生活費などを考え直すことが大切です。

 特に若い皆さんは、「時間」という掛け替えのない優れた資産をお持ちなのですから、若いうちから”自分年金作り”に着手し、長い人生の中には制度改正も良くあることですので、適時に見直しを行い、希望に合った資産を形成していってください。

 還暦の私が言います! アナタの”自分年金作り”着手は早ければ早いほど有利です。たとえ経過が不調であっても、若ければリカバリーができます。そして、「自分年金」は個々の人によって違います。まず何に着手すべきか? 保険や投資商品の販売などに関わっていない独立系FPに早めにご相談してみてはいかがでしょうか。 

 

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