【実践記】一人合同会社の設立準備!②(定款)
ディアパートナー行政書士/FP事務所 代表の瀧澤です。
「行政書士業務」などの個人事業と、コンサルティング業務がメインになると思われる合同会社の棲み分けは決定しましたので、一人合同会社設立の準備段階は「定款作成」に移ってきます。
会社設立が、一人でなく複数人の場合でしたら、企画(会社の基本事項)の段階で、「社員」、「商号」、「事業目的」、「本店住所」、「広告の方法」、「決算月」、「出資金」などをしっかりと決めておく必要がありますが、ひとり会社は気楽です。
「商号」や「決算月」などは前回投稿のとおり決定しましたので、残った部分は、今回、定款(案)作成とともに考えていきます。
予想としては、「事業目的」にどのようなことを盛り込むか、が一番の悩みどころになると思うのです。あとは「出資金」をどのくらいにするかですね~。
合同会社の場合は、株式会社のように公証役場での定款認証の必要はありません。そのこと自体は、手続き的にも経費的にも非常ありがたいのですが、事前チェックが受けられずに、管轄する法務局へ直接、登記申請(持参または郵送)を行わなければならないのは、私としてはかなりリスキーに感じます。
公証役場では、公証人が定款内容について、法的に不備がないか、記載内容に誤りがないか等、設立前に事前チェック=定款認証を受けますので、登記申請するのも気楽に感じます。
一昨年、一般社団法人設立の際は、定款認証が必要でしたので、松本公証役場を訪ねて、定款認証していただき、それらを郵送して登記に至りました。(法務局から「登記すべき事項」について、電話照会はいただきましたが、すんなりと登記されました。)
今回は、合同会社設立ですので、定款認証せずにいきなり法務局へ登記申請することになります。前回、一般社団法人登記申請の折は、現職公務員で勤務地も長野地方法務局から遠かったですし、何より定款認証を受けていましたので、郵送で行いましたが、今回は、地方法務局へ持参しようと考えています。
整備して持参する定款等の書類に不備があるといけませんので、その前に、法務局相談を電話予約しました。相談方法は「面談」または「電話」で約30分間、相談を受けてくれるようです。
住居地(長野県松本市)から長野地方法務局(長野市)までかなり距離がありますので、今回は電話相談でお願いしました。相談する時刻になったら、法務局担当者から当方が指定した電話番号に電話をかけてくれるそうです。相談には30分もかからないと思いますが、聞きたいことを整理して不備のないようにしたいと思います。
それでは、定款(案)の作成に入ります。
合同会社設立にあたり、定款には絶対的に記載しなければならない項目(絶対的記載事項:会社法576条1項)が6つあります。
1)事業の目的
2)商号(合同会社名)
3)本店の所在地(最小行政区画を記載すれば足りる。例:長野県松本市)
4)社員の名前と住所(合同会社の場合、社員とは出資する人のこと。また、法人が社員になることも認められています。)
5)社員全員が有限責任であること
6)社員の出資目的及びその価額、又は評価の基準
この6つの項目が1つでも欠けていると、定款全体が無効、法務局での補正対象になります。怖いですね~。電話相談の際に、しっかりと確認していきたいと思います。
次に、定款に記載しなければ効力を生じない相対的記載事項(会社法第577条)があります。定款に記載しなければ効力が生じません。
ア)業務執行社員の定め
イ)社員の定め
ウ)社員の退社事由の定め
エ)存続期間の定め
オ)解散事由
カ)競業取引の許容
キ)解散の場合における財産の処分方法の定め
ク)代表清算人の定め
そして、法律に反しない限りにおいて定款に記載しておける任意的記載事項(会社法第577条)があります。例は以下のとおりです。
・広告方法
・事業年度
・利益配当の請求方法その他利益の配当の定め
・社員の損益配分の割合の定め
・残余財産の分配の定め など
今回、「一人合同会社」を設立するにあたり、一番気をつけたかったことは、「相続の場合の特則」を設けるということです。
株式会社では出資者である株主が死亡した場合、相続人にその地位が相続されますが、合同会社では出資者である社員が死亡しても原則として相続人が社員の地位を引き継ぐことはできません。
合同会社は株式会社と同じように一人でも設立できますが、この点が大きく異なります。
合同会社では社員が死亡すると自動的に退社することになります。一人で合同会社を設立すると、死亡に伴い社員が一人もいなくなってしまいます。社員が誰もいなくなると合同会社は「解散」することになります。
つまり、「一人合同会社」の場合、社員が死亡すると解散されるため、事業を継続していくことができなくなるのです。
解散のリスクを回避するためには、社員が死亡したら相続人にその持分を継承させるように定款に定めておく必要があります。
今回、私が一人合同会社を設立してから、(どのくらいの期間になるか分かりませんが、)死亡した場合、私の相続人(娘)に、私の持分を承継するよう定款に規定しておかないと、解散されてしまうんです。 ⇒ 「私は死亡する」ので、「私は何も感じない」とは思いますが、相続人たちに迷惑をかけないよう「相続の場合の特則」を規定しておきたいと思います。あまり死亡することは考えたくはありませんが~(笑)
さてさて、合同会社設立のための定款を作成するのに、用紙サイズに決まりはありませんが、A4サイズが主流です。
定款を紙ベースで作成した場合には、印紙税法により4万円の収入印紙がかかりますが、「電子定款」で作成すると、この4万円の印紙代がかかりません。この「電子定款」を自分で作成するための環境や設備(※)には、時間や経費がかかるので、今回は、代行事業者(事業者と提携した行政書士が電子定款を作成)に依頼することにしています。
(※)電子証明書付きマイナンバーカード(発行に約1か月かかる)、電子署名にソフト、ICカード読み取り機など
私がWebで調べた中では、「合同会社定款の電子化」は「3,000円」というものがありました。(私がチェックした中では最も安価な案件です。)
その事業者では、自分で作成した定款(ワード形式、エクセル形式、テキスト形式のいずれかでA4サイズに限定)を電子メールでやり取りし、提携行政書士が作成した電子定款データを入手。それをCD-Rに保存(書込)して、登記申請書と一緒に法務局へ提出するという流れになります。以上が、定款(案)の企画・作成になります。
そして、「定款の電子化」は合同会社設立の経費を低減できる(37,000円低減)強い味方のような存在ですので、積極的に活用していきたいと思います。この「電子定款」作成は、後日に状況経過をブログ投稿していきたいと思いますので、ご期待くださいね!