【体験記】史上初!ペイオフ発動預金者の体験
2010年9月10日に日本初のペイオフが発動され、10年以上が過ぎました。
「ペイオフ」は、銀行や信用金庫など預金を取り扱う金融機関が経営破綻した場合、預金を元本1,000万円とその利息に限って保護する措置をいいます。1,000万円を超える部分の預金については、破綻処理を通じて残った資産の中から返すため、減額の可能性があります(預金残高が全額返金されない可能性)。
ただし、預金名義人は名寄せ作業が行われますので、例えば700万円を違う支店で預金し、800万円を違う支店に預金しても、計1,500万円をその金融機関に預金していることになります。
1971年に上限100万円で始まり、その後限度額は順次引き上げられていきました。日本政府は1996年に金融不安を理由に、ペイオフを凍結して預金の全額保護に転じましたが、2005年に全面解禁しました。
2010年9月に経営破綻した日本振興銀行に初めて「ペイオフ」が適用されました。なお、ペイオフ実施でも当座預金など無利子の決済用預金は全額保護されます。
2004年に開業した日本振興銀行ですが、貸出原資を集めるために高利の定期預金を設定していました。高利の時には、10年もの定期預金:2.2%、5年もの定期預金1.9%、3年もの定期預金1.5%、1年もの定期預金1.1%などと、当時の市中金融機関の定期預金利息と比べると魅力的なものでした。
当時、日本振興銀行は、長野県内においても、県内各地に次々に支店ができ、私の住んでいた松本市にも支店ができていました。
当時、郵便局に預けていた10年物定期性預金が満期を迎える時期になっていて、その預け先を探している時期に、「日本振興銀行」の個人定期預金のチラシを見て、桁違いの金利に驚いた覚えがあります。他の金融機関で1行だけ「日本振興銀行」ほどではないですが、ある程度高金利の定期預金を募集している銀行がありました。この銀行は今も存在し、現在の相場ではある程度高い金利で定期預金を募集しています。
日本振興銀行と〇〇銀行、この2行が納得のいく定期預金金利でした。子供がまだ学校に通っている時期でもありましたので、リスク分散を考えて、郵便局から払い戻された金額に手持ちの金額を加え、この2つの銀行に半分づつ定期預金をすることにしました。
〇〇銀行は長野県内には支店がありませんでしたので、ネット銀行として、私名義で銀行口座を開設して、定期預金を預けました。
日本振興銀行は近くに松本支店がありましたので、亡妻名義の銀行口座で、10年もの定期預金2.2%でほぼ同時期に預けました。
当時の日本振興銀行が使用していたキャラクターは「ハクション大魔王」でした。預金をしに行った亡妻は、ハクション大魔王のハンカチやタオルなど、多くのノベルティ商品を「これでもか」というぐらい手渡され、もらってきました。
記憶では、オリジナルの黄色を基調とせず、オレンジ色を基調としたようなハンカチ等でしたが、手渡されたノベルティの数に「流石は羽振りの良い銀行」と感じたものです。
それから、しばらく(すぐではなく1年以上は経過していたように思えますが)して、昼休み時、職場で見ていたNHKニュースで「日本振興銀行にペイオフ発動」のニュースが流れて、店頭(といってもシャッターは閉められていましたが)に定期預金解約を求めて並ぶ預金者の姿と、並んでいる人がインタビューをされていました。
テレビニュースを見た亡妻からも電話がかかってきましたが、亡妻名義での定期預金は1,000万円以下ですので、私は亡妻に「ペイオフが発動されても、自分たちの預金金額だと全て政府が保証するので、落ち着いて何もしないほうが良い」ことを伝えました。
日本振興銀行の営業が再開し、定期預金を解約してしまえば、預入時から普通預金の金利で計算されて払い戻されます。
1,000万円を超える預金のない人は、日本振興銀行を引受ける銀行が決まって、ペイオフの手続きが始まるまで様子を見ている方が良かったのです。
亡妻名義の定期預金は、「引受銀行のイオンコミュニティ銀行」がペイオフ手続きを始めて、定期預金が払い戻される日までの金利は、年2.2%で計算されていました。(この手続きが始まるまでにも結構な期間を要しましたので、ペイオフ対象の預金者は、引受銀行の指示があるまで静観していることが肝要です。)
ニュースでは、「取り付け騒ぎ」が如くに報道されていましたが、日本振興銀行への全預金額 約5,800億円のほとんどが1,000万円以下の預金者で、1,000万円を超える預金者は、全預金者の約3%にあたる3,560人で、カット対象になる預金は約120億円だっだとのことです。
日本振興銀行は、ペイオフを意識した預金の募集を行っていたという見方もありますが、消費者もペイオフを意識した預入れをしているともいえます。⇒ 店頭で行列していた人たちは、ペイオフの制度を知らずに、逆にペイオフ手続き前に早く解約したため、普通預金金利での払い戻しとなりました。
そもそも、2010年7月には、日本振興銀行の創業時の中心メンバーである木村剛らが不正融資の発覚を逃れるために金融庁の検査を忌避したとして、銀行法違反容疑で逮捕された際に「かなりヤバい」と思わなければいけなかったのですが、政府が「史上初のペイオフ発動」という「伝家の宝刀」を抜くのか懐疑的でした。
そんなことで色々ありましたが、亡妻名義の定期預金+ペイオフ手続き終了の日までの金利は、引受銀行のイオンコミュニティ銀行から指定した銀行口座に振り込まれてきました。
今週にも退職金が振り込まれてきますので、退職者向けの円定期預金3ヵ月物(高金利)に預け終えたら、利率の高い金融機関へ円定期預金する予定です。現在、高金利で5年もの定期預金の募集している金融機関(松本市に支店のあるもの)は、○○信用金庫などですので、リスク回避のため、1,000万円以下の定期預金にします、面倒くさいけど。
ペイオフは未だ1回しか発動されていないので、貴重な体験をさせてもらいましたし、その状況を今回共有させていただきました。
そうそう、後日談がありました!イオンコミュニティ銀行から戻ってきたお金、当時、日本振興銀行と張り合っていた○○銀行、そこへ定期預金しようと考えて、定期預金金利を調べると、政府に忖度したのでしょうか、他の市中銀行の定期預金金利と代り映えしないものでした。⇒ 現在はある程度高い金利が設定されています、○○銀行!