「79歳までの充実」と「80歳からの安心」どっちを重視すべきか?

Argentina, Chile and the Andes mountains

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

「貯蓄や投資に回すより、経験や思い出にお金を使おう」という趣旨を、私のブログでも度々提案していますが、シニアの方々の考え方の傾向がアンケート調査結果で示されている面白い記事がありましたので、そこから考察してみたいと思います。

お金を「経験と思い出」に使おう!

シニアであるあなたは、「79歳までの充実」と「80歳からの安心」、どちらを重視しますか?

どちらが大事?「79歳までの充実」と「80歳からの安心」

私が注目したアンケート調査結果が掲載された記事は、2024年7月19日掲載の日本経済新聞電子版「人生100年こわくない・資産活用で笑おう(野尻哲史)」の【どちらが大事?「79歳までの充実」と「80歳からの安心」】からです。

この記事によれば、フィンウェル研究所(代表 野尻哲史さん)が継続的に実施している「60代6000人の声」アンケートで、2024年に「あなたは79歳までの生活を優先させたいですか、80歳以降の生活を優先させたいですか」の設問を用意して、5段階で回答してもらったそうです。

その結果は、全体の43.3%の方が「79歳までの生活を優先したい」と答え、「80歳以降の生活を優先したい」と回答した20.8%を大きく上回りました。

アンケートを実施したフィンウェル研究所の野尻哲史さんは現在65歳。野尻さん自身も活動できる間にもっといろいろやってみたいと思っているそうですから、「79歳までの生活を優先したい」と回答した4割の人の気持ちはよくわかるといいます。

ただ、お金を無秩序に79歳までの生活で使ってしまうことも気になっていて、野尻さんは「どうバランスを取るかが難しいところ」だとしています。

60〜70歳代の生活を思う存分楽しみたい気持ちがある反面、80歳以降の生活で子どもたちに迷惑をかけない生活を送らなければならないという考えも持っているのではないでしょうか。

実際にはお金を使えない人が多い?

上記のアンケ―ト結果では、「60~79歳までの生活を優先したい」と答えた人が、「80歳以降の生活を優先したい」と答えた人の2倍以上だったのですが、実際はどうなのでしょうか?

死ぬときに一番お金を持っている!

「家計調査報告(貯蓄・負債編) -2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」(総務省統計局)によれば、人生の終盤といえる75歳以上が保有する純貯蓄高が一番多い年齢層だということが示されています。

日本人は「人生最期の時が一番お金持ち」という実態が統計上も裏付けられたことになります。

この統計で、日本では70歳以上または75歳以上の世帯の貯蓄額が多いという実態が浮かび上がってきましたが、なぜ多くの人が「生涯お金を貯めよう」とするのでしょうか?

最初に書いたアンケ―ト結果では、「60~79歳までの生活を優先したい」と答えた人が、「80歳以降の生活を優先したい」と答えた人の2倍以上だったのですが、どうしたわけでしょう?

これには、やはり「老後不安」という「恐怖」が根底にあるのではないかと思います。メディアでは、たびたびセンセーショナルに「老後不安」を掻き立てるテーマが取り上げられています。(スマホやパソコンの普及により、ワイドショーの視聴者や週刊誌の購読者の多くはシニア層が中心になってのではないでしょうか。シニア層に「響くテーマ」が多く取り上げられている感があります。)

たしかに、富裕層でない限りは、いくら資産があっても不安はつきまとうかもしれません。人の寿命は誰にも分からないので、最終的に必要なお金の金額が予想できないことに加え、人生に起きるさまざまなアクシデントへの対応にかかるお金など不確定な要素も多く、不安を消し去ることはなかなか難しいのが現実です。

ただ、「老後不安」の恐怖のあまり必要以上にどんどん貯蓄を積み上げていくということには、私は少々疑問を感じているところです。

使いながら運用する時代

冒頭に引用した記事には、60歳から79歳までの前半を「使いながら運用する時代」としていて、80歳以降の後半を「使うだけの時代」として考えています。

そのうえで「定額引き出し」と「定率引き出し」いう2つの引き出し方法をうまく使って、なるべく資産を長持ちさせていこうと提案しています。

具体的に、この記事では、「定率引き出し」は80歳以降の「使うだけの時代」の生活の安定度を高めることに重きを置いた引き出し方法で、「定額引き出し」は60歳から79歳までの「使いながら運用する時代」の生活に重きを置いた引き出し方法だといえそうだとされています。

また、8月26日発行の週刊東洋経済の「お金の終活超入門」のなかの「60代からの資産使い切り法」(フィンウェル研究所代表 野尻哲史さん)では、60歳から79歳までの前半では「定率引き出し、資産が預金だけになる80歳以降の後半には「定額引き出し」を活用するということを提案されています。この辺の詳しい考え方は、「60代からの資産「使い切り」法(日経BP日本経済新聞出版)」という書籍に記されています。

いずれにせよ、シニア層であっても、保有する資産を貯蓄のみに頼るのではなく、「使いながら運用する」、「資金を運用しながら使っていく」ということが必要なのではないでしょうか。

自転車

突き詰めれば「幸せな生き方を実践する」ことか!

とはいえ、資産は多いに越したことはないとも思います。

しかし、私は還暦を過ぎ、今年は厚生年金の特別支給を受給する年齢になります。こうして年齢を重ねるてくると、着実に人生は残り少なくなってきており、「人生、何が幸せなのか?」ということを考えることが多くなってきました。それとともに、体力や気力、記憶力、味覚などの五感などの衰えを徐々に感じ始めています。

本日、8月26日付けの日本経済新聞の「春秋」欄に、川端康成の小説「山の音」の還暦を過ぎたばかりの主人公が「挑みそびれた夢」の比喩をつぶやく場面が引用されていました。

「やりたいと思ったことに挑戦しなかった」、「行きたいところに行かなかった」、「会いたい人に会わなかった」などなど「挑みそびれた夢」が、人誰しもひとつやふたつはあると思います。

残りの人生を深く自覚せざるを得ないシニア層にとって、この「挑みそびれた夢」を一つでも多く実現していくことは、残りの人生の良い思い出づくりになることでしょう。

例えば、「行きたかったところに旅行に行く」とか「訪れた地域の美味しいものを食べる」、「会いたい人に会いに行く」、「昔からやりたかったことを経験する」などの「思い出づくり」には、体力や気力、五感といった衰えていくであろう能力がまだまだ残っている間に行動しておくことが自分の人生にとって大切なことなのではないかと強く感じています。

シニア層にとっては収支のバランスも大切ですが、「思い出づくりの時期(アクティブシニアの時期)を逃さない」という考え方と「60~79歳までの生活を優先する」ことの実践も大切なことだと思います。それこそが「幸せな生き方を実践する」ということなのではないでしょうか!

私はこれからも「思い出づくりの時期(アクティブシニアの時期)を逃さない」という考え方のもと、「挑みそびれた夢へ挑戦」し、「自分の人生の思い出づくり」を進めていきます。

老後の幸せな生き方とは?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です