「人生の最期までにお金を使い切る」という発想

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。

2023年3月24日付日本経済新聞電子版「人生100年こわくない・定年楽園への道」で経済コラムニスト大江英樹さんが「90歳までにお金を使い切るという発想」というテーマで記事掲載されていましたので、それに関連して投稿します。

まずは、私が以前から提案しておりますが、「財産ゼロで死ぬ?老後の幸せな生き方とは?」人生の最期は貯金よりも思い出づくりに重点をおき、「どうお金を使うことで人生を幸せにできるか」について、投稿していますので以下のブログをご覧ください↓。

それでは、今回の大江英樹さんのご提案からご紹介していきます。

シニア世代にとって、お金を「減らす」ことの効用はたくさんある

作家の森博嗣さんが書いた「お金の減らし方」という本があるそうで、森さんが述べている「お金に振り回されて生きるのではなく、楽しくお金を使って生きるべきだ」という考え方は、大江さんはじめシニア層にとっては実に示唆に富む内容だったということです。

森さんは、著書のなかで「人生を通じて自分の好きなことをするためにお金を使おう」ということを主張しています。収入の一定割合をあらかじめ好きなことに使ってしまおうという「天引き消費」という考え方です。

大江さんはこの本を読んでみて、若い世代は必ずしもそういうわけにはいかないが、少なくともシニア世代においては、お金を増やすことよりもうまくお金を使って減らしていくことをもう少し考えるべきなのではないかという印象を持ったそうです。

このように言うと「いや、老後が不安だからとてもお金を使おうという気にならない。むしろもっとお金を増やしたい」という人は多いだろうとも指摘しています。お金というものはいくらためてもなかなか不安が消えることがありません。なぜならば先のことは誰にもわからないですし、何が起きるかもわからないからです。

冒頭のコラムでも紹介しています、アメリカで刊行された「Die With Zero」という本の中では「死ぬときに一番お金を持っているというのではあまりにも悲しい人生だ。元気な内にお金を使って楽しい思い出を作ることができればどんなに素晴らしいだろう」と語られています。ところが現実は多くの人がやりたいことを我慢し、ひたすら老後に向けてお金をためようとしているのが現状です。

老後不安というストーリー

では、なぜ多くの人が「生涯お金を貯めよう」とするのでしょうか?

それはやはり「老後不安」というストーリーがあるからだろうと大江さんは述べています。人間の行動を強く促す要因には「欲」と「恐怖」がありますが、中でも「恐怖」の力は大きいといいます。

特に老後というのは、これから先の話であって経験したことが誰もいないわけですから不安に感じるのは当たり前ともいえます。

それに加えて世間ではメディアや出版物によって「老後不安」をセンセーショナルにあおるような特集などが多く組まれており、次第に不安が恐怖に変わっていくのでしょう。

実際、「老後不安」は金融機関にとっては最高の商材となります。実際に金融機関が提供している資料を見ても、その多くは実際に必要となる平均値を大きく上回る老後資金の必要性を提示しています。

そうやって言われるがままにお金を増やそうと貯蓄や投資に励み、結果としてどこまで行っても果てのない不安からお金を増やすことを考え続け、最終的に「死ぬときに一番たくさんお金を持っている」という状態になるのだと大江さんは説明しています。

「過剰な老後不安を持つ必要はない」と大江さんが常々主張しています。日本においては、国民年金しか無い人の場合、それだけで生活していくのは難しいが、普通のサラリーマンで厚生年金に入り続けていた人であれば、過剰に心配する必要は無いといいます。

厚生労働省のモデル年金額では妻がずっと専業主婦だったサラリーマン家庭の場合の年金支給額は月額で約22万円と示されています。

大江さんは現在71歳。65歳以降の年金受給は繰り下げをしていて、70歳になるまでの5年間は年金を受け取らなかったそうです。その代わり、大江さんが受け取れる年金額はおよそ23万円だということがわかっていたため、65歳から70歳までは自分で給料を23万円(年金と同金額)と設定し、その金額だけで生活しようと試みたそうです。

その結果は、何の問題もなく今日に至るまで日常生活は年金相当額の約23万円でまかなえているといいます。(大江さんはご自身で家計簿を付けているのでそうです)

実際、厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、年金を受給している高齢者世帯における年金受給額の総所得に占める割合が80%以上という世帯は6割近くを占めています。

お金を減らす効用とは?

もちろん、何歳まで生きられるかは誰しもがわかりませんので、死ぬまでにお金を全部使おうというのはかなり困難といえそうです。人の寿命はだれもわからないのでうから、自分の寿命というものをあまり厳密に考えなくても良いだろうと大江さんは述べています。

その上で、平均寿命よりも少し先の年齢を考慮して、「その年齢までにお金を使い切ればいいかな」というくらいのことで十分だとしています。

現在の日本人の平均寿命は男性で82歳、女性は88歳くらいですが、仮にそれ以上長生きしたとしても公的年金の支給は終身です。大江さん自身70代ですが、現役時代、60代と比べてみると、明らかにその生活費は減っているといいます。したがって今後何歳まで生きたとしても日常生活に困ることはないだろうと考えています。

大江さんも、ご自身で持っているお金は90歳までにほとんど使いたいと考えているそうです。

それに、シニア世代においては、お金を減らすことの効用は実にたくさんあるようなのです。これは決して享楽主義に陥るということではなく、「人のためにお金を使う」、「思い出を作るためにお金を使う」といった具合にお金を減らすことで手に入れることのできる財産は間違いなくあるのだそうです。

多くの仲間、旅や体験による楽しい思い出、信頼といった無形資産は有効にお金を使ってこそ手に入れることが可能になるといいます。

また、いくらお金を持っていても健康でなければ決して幸せではないというのは誰もが異口同音に言うことですが、年を経るにしたがって、どこかしら身体の不具合は出てきます。それはしばしば不可逆的であり一旦、害した健康を取り戻せない場合もあり得ます。つまり年齢とともにやりたいと思っていることができなくなる可能性が高くなるということなのだそうです。

数年前に大江さんは奥さんと沖縄に旅行した際に、人生で初めてのシュノーケリングに挑戦しようとしましたが、当時の年齢は66歳の健康体でしたが、どこもツアー会社でも「65歳以上は参加できない」という答えだったそうです。

そこで、大江さんは「全て自己責任で何が起こっても責任は問わない」と一筆書くから、と言ってみたそうですが、それでもダメだったそうです。このように年齢とともに自分ではできると思っていても許可されないことはたくさんあるのだろうと述べています。

行けるうちに旅行する

大江さんは、現時点では健康なのでどこにでも旅行に行こうと思えば行くことは可能だそうです。ここ数年はコロナ禍で海外旅行には行かなくなったそうですが、数年前まではしばしば海外旅行に出かけていたそうですし、海外でもレンタカーを借りて移動をしていたそうです。

しかし、いずれ大江さん自身で運転することができなくなる時は訪れるだろうとし、そもそも海外にも行けるのもあと何年だろう、と考えるようになったそうです。

いつ何時、健康が悪化して旅行すら行けなくなるかもしれないわけですから、行きたい場所があるとすれば、行けるうちに行っておいた方が良いのではないかということを提案しています。

「Die With Zero」のように死ぬまでにお金を使い切ってしまうということはなかなか現実的ではありませんが、それでもひたすらお金をためて増やすことばかりに一生を費やすのではなく、お金を減らすことで手に入れることができるものの大切さをもう少しだけ考えてみる必要があるのではないだろうかとこのコラムを締めくくっています。

まとめ

私自身もシニア世代といわれる年齢に差し掛かり、今回の大江さんのご提案に対して、大いに賛同したいと思いますし、自らも実践したいと考えています。

私自身、「シニア層といわれる年齢」に達したころから、食事の量が減ってきました(酒の量は変わりません(笑))し、たくさん食べられなくなってきたのを実感しています。

若いころは「質より量」だったのですが、現在は「美味しいものを少々」で満足する胃袋になってきました。

それに、体力の低下も時間するようになりました。トイレに行く時間の間隔も短くなっています。

自分に起こっているこれらの現象は、旅行に行く上には「大きなデメリット」になりますよね。

自分でもこれからは「お金を内部留保」しようとせずになるべく使う。すなわち「行けるうちに旅行に行く」、「積極的に思い出づくりをする」ことを実践していきたいと思います。

旅行や食事に頻繁に行かなくない、行けないようなれば、自分で使うレジャー費などは必然的に減少してきますので、公的年金の受給額がほぼ変わらないとすれば、近い将来に必要になるであろう「介護にかかる費用」を確保するにはよい循環になるかもしれません。

動けるうちにやるべきことがもうひとつ!

自分の考え方や体力が十分なうちに行っておくべきことがもうひとつ、あります。

自分の身に「意思判断能力の低下」や「生活能力の低下」などの大きな変化が訪れるまえに、自身の財産管理が問題なく持続できるような対策(生前の相続対策)を行っておくことが必ず必要になります。

対策は、それぞれの生活環境や家族関係、資産状況などでひとりひとり違いますので、それぞれオーダーメイドの相続対策が必要になります。

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