「シニア世代の保険」どう見直す?
みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
60代以上のいわゆるシニア世代の皆さんは生命保険や医療保険など、どうしていますでしょうか。若いころに入ったままになっているとか、新規に加入したが既に加入している保険はそのまま継続しているとか、いろいろなケースがあるでしょうね。
日本経済新聞電子版(2023年11月25日付)「人生100年の羅針盤」にシニアの保険、とくに死亡保障や医療保障についてどう対応すべきかが掲載されていましたので、生命保険や医療保険に関連してシニア世代の対応方法についてご紹介していきます。
シニア世代の保険の見直しは?
子供が独立し、夫婦2人の暮らしに戻ったシニア世代で、保険の見直しをしていない人は、生命保険や医療保険などの見直しを検討することが必要かもしれません。
子供が独立したシニア世代にあっては、生命保険の死亡時の保障額は現役時代ほど必要なくなる一方で、逆に医療保険のニーズが高まる場合も考えられます。
最近は健康告知の面で、高齢者や持病がある人も入りやすい医療保険が増えてきていますが、年金が主な収入源のシニア世代の生活では保険料の支払い負担が高くなりすぎると暮らしそのものを圧迫してしまう可能性があります。
現在の社会保障制度を考慮しながら、医療保険のかけ過ぎに注意して、無駄なく万が一の事態に備えたいものです。
シニア世代の保険事情は?
それでは現在、シニア世代はどのくらい保険をかけているのでしょうか。
医療保障などを含む生命保険料の1カ月の平均額を、生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2021年度)から計算すると、世帯主が60歳以上の世帯では約3万円を払っているという結果がでています。これは59歳以下の世帯(約3万1000円)とあまり変わりがありません。
ただ、保障内容は世代で違いが認められ、世帯主の死亡保険金は59歳以下が平均では約1800万円なのに対し、60歳以上は800万円強と少なくなっています。
60歳以上のシニア世代が死亡保険金を減らし保険料を抑えるのは賢い選択といえます。子供が巣立ったシニア世代で、世帯主が亡くなった後に保険金が必要なのは一般に配偶者だけになります。日本の社会保障制度下では18歳以下の子がいない妻や55歳以上の夫は、亡くなった配偶者が会社員か公務員だったら遺族厚生年金をもらえることになります。
なぜ、生命保険料に差がない?
それではシニア世代が死亡保険金を減らしているのにもかかわらず、現役世代とシニア世代で生命保険料にそれほど差がないのはなぜなのでしょうか。
前出の生命保険文化センター調査では「直近に加入した生命保険の目的」のシニア世代のトップは「医療費や入院費」になっています。65〜89歳の世帯主の医療保険加入率は2021年度に86%と、2018年度の74%から12ポイント上昇しました。年齢層では特に80代の上昇幅が大きくなっています。
専門家は「以前は80歳ごろに保障が切れる商品が多かったが、最近は85歳まで加入できて終身保障の医療保険が増えた」(ファイナンシャルプランナー竹下さくらさん)といいます。
また、以前には入院給付金をもらうのに一定日数以上の入院が必要な保険がほとんどでしたが、今は日帰り入院でも受け取れる保険商品が主流になっています。専門家は「75歳以上の医療費で2割の自己負担の対象が拡大したことも保険加入の動機になる」(竹下さん)と指摘しています。
保険加入の注意点は?
医療保険に加入する場合に注意したいのは、加入時の年齢が高くなると保険料が上がることです。今回は、保険料が比較的安いといわれているメディケア生命の医療終身保険で比較してみます。
40歳男性が入院時に1日5000円を1回60日まで、入院中の手術で1回5万円といった保障内容の保険商品に加入すると、保険料は月1430円(終身払い、特約なし)ですが、60歳加入だと2915円になり40歳の倍以上の保険料になります。また、80歳加入ならば6190円と、40歳の約4倍に保険料が上がります。
そのうえ高齢になれば持病を抱えがちになります。持病があっても加入しやすい「引き受け基準緩和型」保険の保険料はおおむね通常の保険の1.2〜1.5倍程度に設定されています。また最近の医療保険は抗がん剤治療保障など様々な特約が多く、専門家は「あれもこれもと特約を付けると保険料が高くなりやすい」(竹下さん)と話しています。
保険料の負担をどう抑える?
それでは高くなりがちな保険料負担をどう抑えればいいのでしょうか。
例えば若いころに終身保障の医療保険に加入済みで現在の保険料が安ければ、入院給付金をもらえる条件が厳しくてもそのまま契約を継続するのが選択肢のひとつとなります。短期間の入院ならば自分の貯蓄で費用をまかなえるケースが多く、保険で備える必要性が薄いとも考えられます。終身保障で保険料の払い込みが一定年齢で終了する契約も継続することが無難なようです。
とくに慎重に考えたいのは、医療保険の保障が切れるケースです。期間10年などの定期型の保険に加入し、60歳を過ぎて更新時期を迎えて新たに医療保険を探す人は少なくありません。こうした場合に契約更新や新規加入すると保険料が高額になりやすくなります。専門家は「加入する場合は月1万円など保険料の上限を決めて必要な保障を吟味しよう」(竹下さん)とアドバイスしています。
現在の公的医療保険の高額療養費制度では、一般的なシニアの入院時の自己負担は世帯で月5万7600円に抑えられています。こうした社会保障制度も考慮しながら、本当に民間の医療保険で備えるべき、必要額はどうかを慎重に検討する必要がありそうです。
保険請求の際の注意点は?
医療保険で忘れてはならないのは、入院給付金や手術給付金などは保険会社に請求しなければ受け取れないことです。体調を崩したり、長く療養生活が続く場合は請求手続きができない場合も想定されます。原則、医療保険金給付については被保険者本人以外の請求は通常は認めらません。
私が先週開催した「お二人様向けセミナー」でも、お二人様ですぐやるべきこと2点のうちの一つとしてご紹介したところです。この対策は手間だけしかかかりませんので、面倒くさがらずに着手をセミナーで呼びかけました。
その方法とは「指定代理請求特約」を医療保険に付け、家族を代理人に指定しておけば、家族が本人にかわって保険金を請求できるようになります。この特約には保険料はかかりません。この特約により代理人を決めたら必ず家族みんなで情報を共有しておくことも重要です。
なお、保険会社の「家族登録制度」で家族や親族の連絡先を届け出ておくと、登録した家族は保険金請求はできませんが契約内容の確認などは行うことができます。
まずは現在加入している保険内容の確認から
私が先月開催した「お一人様向けセミナー」、また先週開催した「お二人様向けセミナー」でもご説明しましたが、まずは現在加入している保険内容の確認から着手することをおススメしました。
上でご紹介している医療保険の「指定代理請求特約」はお金がかからずに手間をかけるだけで済みますので、まずは内容確認からといったところでしょうか。
今後、社会保障制度の改正が行われた際にも、内容を確認して必要があれば保険の見直しをすることが大切です。
最近は様々な内容の生命保険や医療保険の商品が登場していますので、検討の時点でベストな保険商品に加入することも重要な点かもしれません。
死後事務に対応する生命保険信託も!
「お一人様向け」、お一人様予備軍である「お二人様向け」にも、自身が亡くなってからの諸手続きや葬儀・埋葬などを事前に依頼しておく「死後事務委任契約」がどうしても必要になります。
通常、この死後事務委任契約を結ぶのには、ある程度まとまった額の預託金が必要になります。この預託金を準備できない場合に「生命保険の死亡保険金」を使って「死後事務委任契約を結んでおく」といった生命保険商品も販売されています。
この保険は今年から販売され、まだ国内で1商品しかサービス提供されていませんが、「生命保険信託」を活用して「死後事務に対応」するものです。この生命保険への加入条件は75歳以下という制限がつけられています。
生前の相続対策に取り組んでいる行政書士として、この「生命保険信託」は「お一人様」や「お二人様」、「親族と疎遠な方」などにとってはとても「心強いサービス」になるのではないかと考えているところです。
この「生命保険信託」商品にご興味のある方(「お一人様」「お二人様」「親族と疎遠な方」)は、ディアパートナー行政書士事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。
また、相続対策や認知症対策、事業承継対策などのお悩みのご相談はディアパートナー行政書士事務所にお任せください!!
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