積立型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」

 ディアパートナー行政書士・FP事務所 代表 瀧澤です。

 若年層で投資の取り組みが広がっていることが雑誌「日経マネー」の調査で分かったということです。

日経マネー調査結果

 積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」は若い世代ほど利用率が高く、20代で6割超に上るということです。老後の資産づくりを早期に始める動きや、早期リタイア実現のため、20年間にわたり運用益非課税のメリットを享受できる「つみたてNISA」による資産形成が広がっているようです。とくに、近年、欧米の20〜30代の間で「FIRE(ファイア)」と呼ばれる早期リタイアがムーブメントになっていることも少なからず関係があるかもしれません。

 「日経マネー」の調査は個人投資家を対象に4月15日~5月7日にインターネット上で実施し、約2万5千人から回答を得ました。

 つみたてNISAを利用してたのは47.2%で、前回の調査より6.8ポイント増加しました。20代が65.8%、30代が58.8%と平均を上回っています。

つみたてNISA口座

 一方、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の利用率は29.9%(前年は28.2%)で40代の利用率(38.4%)が最も高く、50代が35.5%と続いています。

 投資の目的は、「老後の資産づくりのため」が41.3%で最も多くなっています。なんと、20代から60代の全ての年代でトップでした。また、20代から40代では「早期リタイヤ実現のため」が続いており、20代で19.2%、30代で17.1%となっており、数年前から欧米の20~30代の間でブームになっている「FIRE(経済的に自立し早期退職を果たすこと)」の志向が、日本の若い投資家層にも広がりつつあるようです。 

つみたてNISA

 「つみたてNISA」は金融庁が2018年に創設した少額投資非課税制度で、つみたてNISAの専用口座開設が急増しています。投資信託を長期にわたって毎月定額購入する積み立て投資を促進するのが狙いで、購入額の上限は年40万円となっています。投信の売却益と配当からなる運用益への課税が20年間免除されるのが大きな特徴であり、メリットでもあります。

 毎月定額購入するため、ドルコスト平均法のメリットを享受できます。ドル・コスト平均法は、毎月定期的に定額を購入するので、いったんその設定をしてしまえば、あとはほったらかしにすることができます。また、相場に関わらず購入額が固定されるため、基準価額が高いときには購入口数が少なく、基準価額が低いときには購入口数が多くなります。仮に基準価額が下がっても、「たくさん買えた」と考えることができるので、毎日相場をチェックして一喜一憂する必要がありません。また、相場を読み違えて高値掴みをしてしまうといったことも避けられます。

 ドルコスト平均法は、10~30年など長期スパンでの資産形成を前提とて、投資信託などの金融商品を定期的に定額で購入していく投資手法で、少額でも毎月定額の投資することで、リスクを分散しながらコツコツと資産を増やしていくことができます。

 ドルコスト平均法のメリットを有しているつみたてNISAですが、金融庁が3月に発表した速報値によると、つみたてNISAの専用口座数は20年12月末時点で300万を突破し、創設1年目の2018年末から2年で約3倍に増加しました。つみたてNISA口座による投信の買い付け額の合計は、2020年末時点で6878億円に達し、2018年末時点の約7.4倍に拡大しました。

 また、つみたてNISAの特色の一つとして、投資の対象が信託報酬などのコストが低く、分配金を頻繁に出さないといった金融庁の基準を満たす投信に限定されている点です。2020年12月23日時点で、193本が運用の対象になっています。

 金融庁の最新データ(20年9月末時点)によると、投信のタイプ別の累計購入額は、日経平均株価などの株価指数に連動するインデックス型の投信が4345億円で、全体の77%を占めており、運用担当者の裁量で組み入れ銘柄を選ぶアクティブ運用型の投信が800億円(同14%)で続いています。一方、上場投資信託(ETF)は本数が少ないこともあり1億円余りで、比率は0.02%にとどまっています。

資産運用の考え方

 若いうちに資産運用を始めて老後に備えるのは望ましいことですが、運用方法が投資一辺倒になっていないかどうかは注意すべきです。株式や投信など元本が保証されないリスク資産への投資額は大半というようなことは避け、預貯金のように元本が保証されている安全資産の額と同じくらいにとどめるべきです。不測の事態で収入が急減した場合や急な出費に迫られた場合、預貯金があればリスク資産を売却して費用を捻出するようなことにならずに済みます。

 20代~30代はライフプランが固まってもおらず、いつどんな資金が必要になるか予測しづらいですし、若い世代が年金受給する頃には、社会保険制度も大きく変化しているかもしれません。「財形貯蓄」などの預貯金と「つみたてNISA」などの積み立て投資の両輪で、将来の老後に備えることが必要です。

 老後に備える

 私は、「老後に備える」という目的であれば、「つみたてNISA」よりも、税額控除のメリットもある「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を最優先に選択すべきではないかと考えます。若い世代では税負担の重さを実感することが少ないかもしれませんが、長いスパンで考えた場合は、税額控除のメリットは大変大きいものがあると思います。

 なお、iDeCoは受取り時期が60歳代となってしまいますので、「老後に備える」という目的であれば最適ですが、「早期リタイア」を目指す方の資産運用には不向きかもしれませんね。

その買うを、もっとハッピーに。|ハピタス

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