入院の際、保証人がいない! まずは地域の相談窓口へ

みなさん、こんにちは!「家族信託」や「遺言書」など生前の相続対策に特化した取組を行うディアパートナー行政書士事務所です。
今回は、2022年3月4日付け日本経済新聞に入院の際の保証人にまつわる記事が掲載されていましたので、それに関して投稿していきます。

事前に備える、元気なうちから代替手段を確認!

歳を重ねるにつれ医療機関のお世話になる可能性はだんだんと高まっていきます。核家族化の進展で「頼れる身内」が同居していない、または近くに住んでいないという高齢者も、入院時には連帯保証人や身元引受人が求められます。いざというときに備え、元気なうちから代替手段を確認しておきたいものです。

連帯保証人とは、患者本人と共に金銭債務の負担を約束した人のことで、本人に費用の未払いが生じたときは、本人に代わって支払い義務を負うことになります。本人とは別生計の世帯を求められるため、身寄りがない人には準備のハードルが高くなります。

連帯保証人の支払い責任は、契約締結の時点で定められた金額の範囲に限られます。金額設定は医療機関により様々のようです。保証人が確保できない場合は、クレジットカード決済や、保証金や預託金の差し入れを求められる場合もあります。

しかし最近では、医療機関が保証会社と契約しているケースもあります。保証料は医療機関が支払うため患者に負担はなく、連帯保証人を探す手間もなくなります。かかりつけの医療機関がどのような対応をしているのか事前に調べておくと安心できます。

連帯保証人のほか、身元引受人を求められることもあります。緊急時の連絡先としての役割のほか、費用の支払い代行、退院時や万が一の際の身柄や荷物の引き取り、本人の意思決定が困難なときの医療や介護行為などへの同意、必要な物品の準備やトラブル対応などの責任を負うことになります。身元引受人は同一世帯でも何ら問題はなく、むしろ、緊急の際の医療・介護への同意などには適しています。

身元引受人を身元保証人と呼ぶこともあります。責任の範囲も医療機関で異なるようですが、退院時に文字通り身柄を引き受ける人を身元引受人、債務保証に関する役割まで担う人を身元保証人と区別するのが一般的です。債務保証と引き受けを1人で担える場合もあるが、債務保証と引き受けを別々に求められる場合があります。それぞれの責任の範囲は誓約書などで事前に必ず確認しておきましょう。

保証人が確保できずに困った場合、医療機関内に在籍するMSW(医療ソーシャルワーカー)や近隣の社会福祉協議会、地域包括支援センターに相談してみましょう。成年後見人制度の利用支援や民間の高齢者サポートサービスについて説明してくれるほか、本人が望めば、相談員が直接医療機関と交渉してくれる場合もあります。

成年後見制度の活用

成年後見人制度は国(家庭裁判所)が用意している、親族、福祉、医療、地域などの関係者とチームを組み、日常的に本人を見守ってくれる制度です。日々の生活を支えるお金の管理や医療に関する手続きなどを支援してくれます。後見人は本人と同一の立場とみなされるため連帯保証人にはなれませんが、患者本人の財産から支払いを代行することができます。また、緊急の連絡先にもなれことができます。

財産管理等委任契約の活用

後見人は認知症などで判断能力の減退があったときに利用できる制度ですが、判断能力の減退がなくても利用できる「財産管理等委任契約」を活用することもできます。後見契約と同じ範囲の委任もできますし、委任範囲を狭めることも可能ですので、後見契約に比べてオーダーメイドの委任契約といえます。

実務上で多いのは、判断能力のあるうちは財産管理等委任契約で対応し、その後に認知症などになったときは後見契約で対応するパターンです。判断能力が減退してから後見契約をスタートさせるまで数カ月かかるので、その間もサポートがあるのは心強いかぎりです。

民間の高齢者サポートサービスの活用

民間の高齢者サポートサービスの対象は債務保証から身元引き受け、死後の手続きなど幅広いサービス設定がなされています。国民生活センターの調査では、平均費用は約147万円ということです。加入する生命保険会社の提携など優待価格で利用できるケースもあるようですし、月会費方式や利用ごとに料金を支払う方式があります。契約前にサービス内容だけでなく、料金形態を必ず確認することをおすすめします。

多くの事業者は預託金を設定していますが、預託金の保全措置については業者によって異なっています。預託金の目的や用途、返金の有無や管理方法についてもぜひ契約前に確認しておきたいものです。

生前事務委任契約の費用は所有する財産額に応じて決まる場合もあり、一概には言えませんが、月3万円程度が目安になるようです。一方、死後事務委任契約費用は役所などへの手続きのみなら10万円程度、葬儀や埋葬に関する事項も加えると30万~40万円程度になります。

医療機関への入院時の自己負担額は平均約21万円。保証金が必要な場合も想定し、30万円程度は日常生活の資金とは別に準備しておきたいものです。ただ判断能力が低下すると、そのお金の引き出しすらできなくなる可能性が高いのです。手続き面も含め、身内に保証人がいない場合の代替手段を元気なうちに確認しておこうことをおすすめします。

まとめ

人それぞれで周りの状況は異なります。自分の置かれた状況を冷静に見つめなおて、いざという時のための準備を元気なうちに行っておくことが安心安全な生活に結び付きます。

生前事務委任契約や尊厳死宣言書、死後事務委任契約など、今後必要と考えられる準備は元気なうちに考えていきましょう。子供のいない夫婦や子どもがいても外国など遠方に暮らしている場合、子供に色々な手数を掛けさせたくないと考えている方など、それぞれの事情によって状況は変わりますが、「何も考えていなった」ということのないようにしたいものです。

ディアパートナー行政書士事務所では相続対策に特化した行政書士として、家族信託をはじめ、遺言や任意後見など生前の相続対策のご相談に随時応じておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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